会長挨拶

我ら 誠実に 生きんとす

 

 

 

 

 

 

 

 同窓会長

 前山 秀樹

 私が同窓会長の重責を担って、今年で三年が経過致しました。この間、なんとか無事に過ごすことが出来ましたのは、学校長はじめ、本部事務局の職員の皆さん、同窓会本部役員及び、各支部長さん、そして多くの会員の方々に支えられてのことと感謝致しております。紙上をお借りして厚く御礼申し上げます。
 さて、本校の校歌三番の歌詞に、「さもあらばあれ世の相 我ら誠実に生きんとす」と言うフレーズがあります。
 私は、この校歌が生まれた時に母校の三年生でした。昭和36年のことでした。当時の世相は東京オリンピックを三年後に控え、日本の高度成長の足音がひたひたと聞こえ始めた頃でした。若い力が漲り、新しい時代への期待に満ちた時代でもありました。そのような中でも、世の風潮に染まらずに、自らの真実の道を誠実に歩もうと呼びかけるこの歌詞に、私たちは理想の生き方を夢見たものでした。
 同じく三番中にある、質実剛健、伝統という、どちらかというと硬派の生き方も私たちを魅了したもののひとつでした。しかしこれは、戦前の教育の中にあった気骨のようなものへの憧れでもありましたが、当時は、これが男子校と言うものだと自分なりに納得しておりました。
 その後やがて年齢を重ね、様々な経験や挫折ののちに、世の風潮を「さもあらばあれ」という風に軽視できずに、現実に目を向けざるを得なくなるのですが、この歌詞に触れるたびにあの頃の高揚感が蘇えってきます。
 今時代の風潮は、あの頃よりもずっと複雑さと深刻さを増してきているような気がします。時代の相すがたを冷静に見つめ、誠実に真実を求める生き方を、今の生徒諸君にはぜひ求めて頂きたいと思うこの頃です。